研究内容

Diamond Quantum Emitter ダイヤモンド量子光源

Quantum network & Group-IV vacancy center

量子ネットワークとIV族-空孔センター

量子ネットワークは、量子もつれを用いて量子状態を送受信することで盗聴を不可能にする安全な情報ネットワークとして注目されています。量子ネットワークの送受信および中継点の各点を量子ネットワークノードと呼び、優れた光学特性およびスピン特性(量子状態のメモリ時間)を両立する量子光源が必要となります。その有力な候補として期待されいるのが、ダイヤモンド固体量子光源です。

NVセンターはダイヤモンド中の量子光源の代表例であり、量子センサとしての応用が期待されています。ただし、量子ネットワーク用の光源として用いるには発光安定性・発光集中性に欠けるため、より適した量子光源が求められます。

本研究室では、より優れた特性を有する量子光源の創出を目的とし、これまでにIV族元素を用いたゲルマニウム‐空孔(GeV)センターおよびスズ‐空孔(SnV)センターを創出し、最近では鉛‐空孔(PbV)センターのゼロフォノン線の波長位置を明らかにしました。IV族元素を用いた量子光源は反転対称構造を持ち、高い発光安定性・発光集中性を示します。特に、SnV, PbVセンターは、ケルビン温度において長いスピンコヒーレンス時間を持つことも予測しており、量子ネットワーク応用が期待されます。

High quality formation & optical/spin properties

高品質形成と光・スピン特性

ダイヤモンド中のIV族-空孔センターを量子ネットワークへ応用するためには、優れた光学特性とスピン特性を実現することが重要となります。通常、イオン注入で不純物を導入する際には、カラーセンターの形成および結晶欠陥の回復を目的として1000℃程度の温度で加熱を行いますが、重いIV族元素であるSnやPbのイオン注入では多くの欠陥が形成されるためにより効果的な形成方法が必要です。

我々は共同研究者と協力し、SnやPbをイオン注入した後に、ダイヤモンドを高圧下において2000℃以上の温度で加熱することで効率的に結晶欠陥を回復させ、高品質なSnV, PbVセンターを形成しています。

ダイヤモンド量子光源の特性は、クライオスタットや狭線幅の波長可変レーザを用いて評価しています。IV族-空孔センターの光学特性とスピン特性を明らかにするために、高品質形成技術と合わせて計測技術の発展にも取り組んでいます。